甲斐拓也が激白…移籍決断の裏に“愛妻”の言葉「それが全て」 1か月の葛藤の裏側

今後も変わることがない福岡への愛着と、野球人としての純粋な思い――。そのせめぎ合いに終止符を打ったのは、誰よりも近くで自身を見てくれていた“最愛の存在”だった。巨人にFA移籍した甲斐拓也捕手が20日、鷹フルの単独取材に応じた。「最後」のみずほPayPayドームで明かしたのは、1か月間の葛藤だった。

20日、みずほPayPayドームを訪れた甲斐の表情は実に穏やかだった。11月13日に国内FA権の行使を宣言してから、およそ1か月。「自分の野球人生において、大きな決断になると思います」。そう口にしていた通り、“答え”を出すまでには様々な感情が胸を行き来した。

「野球人生で一番……まあ、そうですね。間違いなく、相当悩みました。これに関しては何回も何回も、最後の最後まで悩みました」。脳裏から離れなかったのは、かけがえのないホークスでの思い出だった。

「やっぱり14年間も福岡でやってきて、このチームがすごく好きなので。ホークスに入って、たくさんの先輩方にお世話になって。監督、コーチはもちろん、色んな人と関わってきて、そういった方々のおかげで今の僕はあるので。そういったところも含めてですね」

悩み抜いた末、最後に背中を押してくれたのは誰だったのか――? その問いかけに対し、甲斐はすぐに口を開いた。「妻っすね」。育成時代の2013年から交際し、2018年に結婚。喜びも苦しみも2人で分かち合ってきたからこそ、妻の言葉に力強く背中を押してもらった。

「本当に最後の最後っていうタイミングで『挑戦してほしい』と言ってくれたので。『こんなチャンスはなかなかないし、何年か後に他のチームで(プレーしたい)って思っても、そんなチャンスは絶対にないよ』『もちろん苦労するだろうし、大変だろうけど、私は挑戦しているあなたを応援したい。うまくいくかどうかなんて先にならないと分からないけど、そういった中で頑張ってみたら』と言ってもらえたので。それが全てだなと思いました」

普段は家庭で野球の話はあまりしてこなかっただけに、甲斐も「びっくりしたっすね」と驚きを隠せなかった。それでも野球人生で最も大きな決断を前にして、思いをすべて妻に伝えていた。「全部話した上で最後の最後、どうしようかなとなった時に、嫁がそんなことを言うなんて思わなかったので。やっぱり野球選手として挑戦してほしいと言ってくれたので。僕にとってはそれが全てでした」。これまで語ることのなかった決断の裏側を明かした。

今後は家族とともに東京での生活が始まる。福岡を離れることへの寂しさを聞くと、「もちろん。めちゃくちゃね」と即答。「もう、めちゃくちゃ寂しい。だって、いろいろと分かっていますから。生活するうえで何も困らないですし、地元も近いですしね。福岡の人も大好きでした」と名残惜しさを隠そうとはしなかった。

取材が終わり、家族とともに車でかつての本拠地を後にした甲斐。息子に対し、「パパがここにくるのは今日が最後やけん」と笑って伝えた表情は、どこか寂しげでもあった。福岡を、そしてホークスを愛した男の新たな挑戦。これからもしっかりと見守り続けたい。

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