準々決勝 前橋育英対堀越 スタンドの声援に応える前橋育英オノノジュ・慶吏(撮影・小沢裕)
<全国高校サッカー選手権:前橋育英1-0堀越>◇準々決勝◇4日◇フクアリ
優勝した17年度以来7大会ぶり2度目、新国立では初となる頂点をうかがう前橋育英が、前回ベスト4の堀越(東京A)に1-0で競り勝った。
決勝点は、FWオノノジュ慶吏(けりー)の右足で奪った。後半10分、MF黒沢のシュートがバーに跳ね返り、こぼれ球を拾って流し込んだ。2年時から2年連続得点のエース。1回戦で左肋骨(ろっこつ)を痛めて交代し、続く2回戦は欠場。3回戦からは痛み止めを飲んで強行出場し「1点が欲しい状況で自分が決められてうれしかった」と笑顔を見せた。
ナイジェリア人の父と日本人の母。中学は東京U-15むさしから同ユースに昇格できず「寮生活をしたい」と前橋育英に進学した。中学から文武両道で、内申点は40。高校では現在オール5で数学が得意だ。大学は「サッカーも勉強も頑張りたい」と慶大法学部に進学する予定となっている。
高校1年の選手権はスタンドで応援していた。2年でメンバー入りをつかみ、最終学年は年代最上位の高円宮杯U-18プレミアリーグ東地区で10ゴールを挙げて得点王に輝いた。今大会も4得点で「ゴールを重ねるにつれ、点への執念が増した」と成長を自負する。
ユースに昇格できなかった当初は悔しくて落ち込んだが、今は「プレミアで(東京U-18と)対戦できているし、自分は高体連で頑張っている、とアピールできていると思っている」と胸を張る。国立切符も通過点。「人々を魅了するサッカーで優勝を目指したい」と掲げた。【岩田千代巳】