◆明治安田J1リーグ▽第37節 柏1―1神戸(30日・三協フロンテア柏スタジアム)
首位の神戸は、元日本代表MF武藤嘉紀(32)が後半終了間際に執念の同点弾を決め、1―1で柏と引き分けた。3位の町田が1―0で京都に勝利し、勝ち点差が3となり、神戸のJ1連覇は8日の最終節、ホーム・湘南戦に持ち越しとなった。柏が新潟に並ぶ勝ち点41となり、柏が16位、新潟が17位に。残り2試合で同34の札幌は18位以下が確定し、来季J2降格が決まった。
土壇場の同点ゴールが認められた瞬間、神戸のMF武藤はユニホームを脱ぎ捨て、雄たけびを上げた。敵地に駆けつけたサポーターの元へと走り出した。
「正直オフサイドだと思っていた。諦めていたところでのゴールだったので、感情が爆発してしまった。この勝ち点1の大きさは計り知れない。執念深さが勝ち点1につながった」
0―1の後半アディショナルタイム(AT)10分、全員でつないだボールを左足で押し込んだ。一時はオフサイド判定で無効となったが、VARの結果、殊勲の得点となった。
絶望的な展開だった。1点を追う後半45分、武藤がペナルティーエリア内で倒され、口から流血しながらPKを獲得。だが、FW大迫が失敗した。それでも武藤は「今までサコ君(大迫)が(チームを)支えてくれた。彼の気持ちをくんで、最後に1点取りたいと思っていた」と敗戦ムードを払拭(ふっしょく)する一撃。今季チーム最多の12得点目でチームを救った。
ただ、決してこの引き分けに満足はしていない。J1連覇は最終節に持ち越しとなった。柏戦で勝ち切れなかったことも事実。相手のプレスに苦しみ、ミスを恐れて消極的なプレーも散見された。首位をけん引する背番号11はあえて厳しく、「一番大事な試合で入り切れてない選手がいた。気を抜いて、負けたら全てが水の泡。厳しい言い方になるけど、戦えない選手は置いていく」と言い切った。
8日の湘南戦に勝てば、自力での優勝を決めることができる。「最後は運に頼らず、勝つのみ。どれだけ疲労や痛みがあっても、チームの勝利のために全てをささげたい。一番いい舞台で優勝したい」と武藤。吉田孝行監督(47)も「ホームで勝って(優勝を)決めよう」と熱い思いをぶつけた。本拠地ノエスタで、高々とシャーレを掲げる。(森脇 瑠香)